赤変するイグチ 投稿者:
種山 投稿日:2009/08/21(Fri) 14:58 No.1485 |
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妻がブナ林で赤変するイグチを採集してきました。 これって、指名手配の「赤変イグチ」と同じものなのでしょうか。
>切断直後は断面が真っ赤になるほど赤変性が強く、
とのことですが、この標本はカッターで切断するとそれほど赤変しませんが、ピンセットの先などで傷つけると褐色っぽく変わり、数分後には真っ赤に変色します。柄表皮にはシスチジアの固まりと思われる黄色い粒状のものが多数付着しています。
かさ表皮は細かい凹凸と弱い粘性があり、ひび割れることもあり、鱗片状、毛状のちいさな付着物をまとうこともあります(見あたらない物もある)。胞子紋はBrown、検鏡はかさ表皮のみですが、風船型の細胞が縦に連なっており、毛状付着物と思われる若干細い菌糸の束は風船型細胞の間から表面に飛び出しています。匂いは唾液が乾いたときの様な、ハーモニカのような感じ(ムラサキヤマドリタケ、ウツロイイグチに似ている)、味は酸味があります。
指名手配のものとは赤変の所見が異なるようですし、掲載された写真からは、黄色い粒を付着してるのか判断できないので同じものとしていいのか悩んでいます。
またクロヤマイグチも赤変するようですが実物を見たことがないので判断できません。よろしくお願いいたします。 |
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Re: 赤変するイグチ
har.高橋 - 2009/08/21(Fri) 20:49 No.1487 | |
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田中さんの赤変イグチにつきましては、私もまだ実物を拝見したことがないのでなんともいえませんが、お写真のイグチは柄の表皮と胞子紋の特徴からヤマイグチ属の所属種と思われます。
尚、クロヤマイグチは写真のように明らかな黒変性があります。 |
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Re: 赤変するイグチ
田中 - 2009/08/21(Fri) 21:55 No.1489 | |
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赤変イグチということで出てきました。田中@秋田の山奥です。 種山さんはじめまして。 har.高橋さん、その後赤変イグチのサンプルをお送り出来ず申し訳ありません。 種山さんのイグチは、私が以前har.高橋さんにお送りしてクロヤマイグチと鑑定頂いた個体に良く似ていると思います。傘表皮の特徴もご記載のとおりです。 私が追いかけている赤変イグチは、著しい赤変ののち黒変します。乾燥や冷凍した小片でも水で戻すと赤色を呈するほどですが・・・・昨年・今年と発生を見てません。 いつか良いサンプルが採れましたら、har.高橋さんにお送りしたいと思いますので、よろしくお願いします。
ついでに nivalisさん。安比は2日目だけの日帰りで参加したいので、当日受付のほどお願いします。なんとか仕事を調整して頑張ります。 |
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Re: 赤変するイグチ
har.高橋 - 2009/08/21(Fri) 22:43 No.1490 | |
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田中さんのおっしゃるとおり、お写真の子実体の傘の色及び柄の小鱗片の性質は、クロヤマイグチの特徴と一致します。肉が赤変したのち、黒変性が認められれば、クロヤマイグチに近い種類と考えられます。 |
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Re: 赤変するイグチ
種山 - 2009/08/21(Fri) 23:52 No.1491 | |
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高橋さん、田中さんありがとうございます。
残念ながら黒変に関しては未確認です。 が、乾燥標本を改めて見てみると黒ずんでいます。 一年前、知人が採取しこの掲示板で報告した 赤変するイグチも今回の物と同じであることが判明しています。
参考までにかさ表皮と胞子の写真を。KOH封入です。 Fungi Europaei掲載のLeccinum nigrescensと同じとされている Leccinum crocipodiumの検鏡図と少し似ていますが、 完全に同じではないようです。 |
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Re: 赤変するイグチ
har.高橋 - 2009/08/22(Sat) 00:54 No.1492 | |
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傘の表皮構造を示す顕微鏡写真は、末端部に近い菌糸細胞がやや膨大している点が気になりますが、短形の菌糸細胞からなる柵状毛状被 (trichodermial palisade)を形成しているように見えるので、pileipellis の解剖学的性質については本郷・長沢両氏の報告(Rept.Tottori Mycol. Inst. 15:50-54, 1977.)による鳥取産 L.nigrescens と大体一致しているようです。
赤変性を持つヤマイグチ属の仲間は通常赤変したのち黒変する性質があり、お写真の柄の表皮の粒状小鱗片などからも黒変を示唆する特徴が伺えるので、おそらくクロヤマイグチに近い種類と考えて良いのではないかと思います。(写真だけの判定ですので断定はできませんが) |
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Re: 赤変するイグチ
種山 - 2009/08/22(Sat) 07:54 No.1496 | |
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高橋さん、ありがとうございます。
NorthAmericanBoletesでLeccinum nigrescensを見ると 類似種としてL.rugosicepsが挙げられており、 記載には黄色い粒状小鱗片の事や変色性ゆっくり赤変、 その他所見がぴったり一致しています。
Singerの記載も手元に有り、 胞子の大きさが14-17x4.8-5.2程度と大型のようですが まだ、測定をしていませんのでそこが確認できれば L.rugosicepsとして良さそうな感じです。
ちなみにL.rugosicepsの写真をみると「まさにこれだ!」 という物でした。
これから八ヶ岳方面にB.rubrus?を探しにいきます。 状態のいいものがあったら、お送りしましょうか? |
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