ミヤマタマゴタケでしょうか 投稿者:
konpas 投稿日:2010/10/05(Tue) 10:42 No.1961 | |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
konpas - 2010/10/05(Tue) 10:55 No.1962 | |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
イグチ 潔 - 2010/10/05(Tue) 22:53 No.1963 | |
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>標高1,000m付近
きのこの同定に重要なのは標高ではなく、その標高において、発生地の付近にどんな樹木があったのか、ということです。標高をチェックするよりも、樹種が正しく見極められる知識が重要です. ただし、テングタケ類は、外生菌根を作る樹種をあまり厳密には選ばないとされています.
>それぞれの個体
一本の子実体は「個体」ではありません! 私は「個々の子実体」とか「それぞれの生標本」などと記述することにしています. Konpasさんだけではありませんが、地中の菌糸と地上の子実体とをすべて合わせて初めて「個体」扱いです.菌核などから発生するきのこなら、その菌核も含めて「個体」扱いとするべきです.
>微妙な違い
kompasさまが観察した結果として、結局のところ「違い」はあったのですか? なかったのですか? 違いがあるのかないのか、自信が持てなかったのですか?
>ミヤマタマゴタケ(仮称)
ミヤマタマゴタケの名は、すでに正式和名となっているはずですが…いまだに仮称として挙げている図鑑があるのでしょうか???
>柄のササクレ
柄の表面がささくれるかどうかは、子実体の発育段階の違いや、発生地周辺の環境にも大きく影響されるため、種の「決め手」としてあまり重視しないほうが無難かと思われます.
>図鑑などで確認・・・
具体的に図鑑名を挙げ、その図鑑の記述とどのような点で共通し、どのような点が相違しているのかを書き込んでいただくと、他の方々もコメントがいっそうやりやすくなるでしょう。
>ツバがハッキリしません
3枚目の写真を拝見するかぎり、きわめて明瞭な内被膜が認められています.これを「ハッキリしません」とする理由がむしろ判りませんが(汗). 厳密にいえば、「柄の上に、リング状に残った内被膜」こそが「つば」であるというべきで、「内被膜」は、「将来は明瞭なつばとなるもの」ばかりでなく、フウセンタケ類に認められる「クモの巣膜」なども含めた、やや広い意味を持つ用語です.
>柄の内部のこのような状況
最後の写真で、子実体の柄の縦断面をみると、この状態は「柔らかい髄を有する」と表現しておくのが無難である(おそらく、子実体のさらなる生長に伴って、すみやかに中空となるでしょう)と考えます.
子実体のサイズも判りませんし、顕微鏡的特長も不明、さらに発生地の林相についても記述がないので断定はできませんが、与えられた情報のみだけに基づいて判断するとすれば、「ミヤマタマゴタケ」と同定しても間違いとはいえないと(ごく控えめに)考えます.
今回の「観察レポート」は甘く採点して10点ぐらい? 100 点を目指してさらに練習してくださいませね(ぺこり) |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
konpas - 2010/10/06(Wed) 19:31 No.1964 | |
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イグチ 潔 様 詳細なご教授ありがとうございます。
>与えられた情報のみだけに基づいて判断するとすれば、「ミヤマタマゴタケ」と同定しても間違いとはいえないと(ごく控えめに)考えます
とのことと,他にも詳細にご教示いただいたので,再度投稿させていただきました。
>その標高において、発生地の付近にどんな樹木があったのか、ということです。
最初の投稿(No.1961)の写真は同一子実体で,スギ,アカマツ,カラマツがポツポツと混じる,コナラなどの雑木林の登山道付近に発生していました。カラマツのあった登山道付近には幾つかのハナイグチが発生していました。
No1962の写真の子実体はブナが少し混じるコナラなどの雑木林からブナが全く見られない雑木林の登山道付近に発生していました。スギ,カラマツ,アカマツは全く見られませんでした。この付近にはドクツルタケORシロタマゴテングタケがかなり発生していました。 ちなみ周回コースの登山道なので,林相が違っています。
また,宮城県の標高1,000m付近なので日最低気温は10度前後,最高気温は15度前後の日が続いていました。
>一本の子実体は「個体」ではありません! 私は「個々の子実体」とか「それぞれの生標本」などと記述することにしています. Konpasさんだけではありませんが、地中の菌糸と地上の子実体とをすべて合わせて初めて「個体」扱いです.
なるほど勉強になりました。つまり,一つ?(一塊?)の菌糸から数本?(数個?)の子実体が発生していても1個体となるわけですね。個体という表現は迂闊に使えないと言うことが分かりました。別々の個体の菌糸が地中で絡み合うと,それぞれの個体の識別?はかなり困難な作業ですね。この解釈で間違っていないでしょうか。 これらの「子実体」や「個体」と言う用語は学会等で用語として確立されているのでしょうか。趣味の範疇として知りたいと思いますので,教えていただけると幸いです。
>kompasさまが観察した結果として、結局のところ「違い」はあったのですか? なかったのですか? 違いがあるのかないのか、自信が持てなかったのですか?
私が「微妙な違い」と表現したのは,以下のとおりです。 No1961の写真は条線が見られる。柄のササクレがほとんど目立たない。 No1962の先頭の写真には条線が見られない。僅かに条線らしきものは写真を見ると感じられるが,子実体を確認した時には気がつかなかった。 No1962の3枚の写真は同一子実体で,条線が見られる。柄のササクレが顕著。 以上を「微妙な違い」と表現しました。これらをきのこの同定でレベルの高い人達が「微妙」というのか「大きな」言うのか私には分かりません。 なお,サイズは高さ(でいいんでしょうか)が何れの子実体も10センチ程度。笠の直径はNo.1961では7センチ程度,No.1962のそれぞれの子実体4センチ程度でした。
>ミヤマタマゴタケの名は、すでに正式和名となっているはずですが…いまだに仮称として挙げている図鑑があるのでしょうか???
ミヤマタマゴテングタケ(仮称)の間違いでした。 ミヤマタマゴタケが正式和名として記載された,いわゆる全国版的な図鑑があれば,購入したいと思いますので,図鑑名をお教えいただけないでしょうか。
>具体的に図鑑名を挙げ、その図鑑の記述とどのような点で共通し、どのような点が相違しているのかを書き込んでいただくと、他の方々もコメントがいっそうやりやすくなるでしょう。
参考にした図鑑名と写真の子実体との違いに見えるところを記載します。 日本の毒キノコ150種記載のミヤマタマゴテングタケ(仮称) 傘:灰白色〜褐灰色。周辺に短い溝線を現す。 ヒダ;白色 柄;上部に膜質白色の大きいツバを持つ。表面は白色。綿くず状でささくれる。
画像の子実体は No1961の写真は短い条線が見られる。柄のささくれがほとんど目立たない。 No1962の先頭の写真には条線が見られない。僅かに条線らしきものは写真を見ると感じられるが,子実体を確認した時には気がつかなかった。ササクレも目立たない。 No1962の3枚の写真は同一子実体で,条線が見られる。柄のササクレが顕著。ツバが無い(下記ご教示で内皮膜がツバであることは理解しました)と思ったが,ツバがある。
>3枚目の写真を拝見するかぎり、きわめて明瞭な内被膜が認められています.これを「ハッキリしません」とする理由がむしろ判りませんが(汗). 厳密にいえば、「柄の上に、リング状に残った内被膜」こそが「つば」であるというべきで、
申し訳ありませんでした。用語の意味すらよく理解できないので,「はっきりしません」と書きました。No.1962の1枚目の子実体全体を見て,「ツバが無い。」でも,切断してみると「薄膜」が見られることから,どのように判断したらよいか迷いました。
「柄の上に、リング状に残った内被膜」でツバの意味が理解できました。切断し内皮膜がある場合には「ツバがある」と表現して良いことが分かりました。ありがとうございます。
>>柄の内部のこのような状況 >最後の写真で、子実体の柄の縦断面をみると、この状態は「柔らかい髄を有する」と表現しておくのが無難である(おそらく、子実体のさらなる生長に伴って、すみやかに中空となるでしょう)と考えます.
「柔らかい髄を有する」と言う表現は初めて聞きました。勉強になります。用語もいろいろ変わるものなのですね。
以上です。まだ,表現が不足していると思いますが,林相,子実体のサイズ等を記載し,再度投稿しました。ミヤマタマゴタケの可能性が少しは高くなったでしょうか。 よろしくお願いいたします。
さて,管理人のnivalisさま 長々の文面の投稿となってしまい申し訳ありません。なにとぞご容赦よろしくお願いします |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
nivalis - 2010/10/07(Thu) 07:53 No.1965 | |
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>さて,管理人のnivalisさま >長々の文面の投稿となってしまい申し訳ありません。
いえいえ、とんでもありません。 きのこの部分的な用語や、違いを見る目、それを持ち始めた方にとって イグチさんのコメントは厳しいと思いましたが でも、勉強になったようで良かったです。
チョッと気になりましたのは >なお,サイズは高さ(でいいんでしょうか)が何れの子実体も10センチ程度 タマゴから傘を出し始めた幼菌なら、10cm程度のものもありますが ミヤマタマゴタケは大型で全体の高さが40cmに及ぶものがあり konpasさんの見られたものは・・・小さ目のものなのかなぁ?と思いました。
なお、ミヤマタマゴタケは 「東北きのこ図鑑」2009、「北海道きのこ図鑑」2007、に載っています。 |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
イグチ 潔 - 2010/10/07(Thu) 12:05 No.1966 | |
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nivalis さま・konpas さま:
>コメントは厳しいと思いました
入試、ではありませんが、敢えて辛めに「採点」させていただきました.きのこの観察の要点について、まったくご存知ない方でしたら甘々・揉み手、の採点を致しますが(笑)
nivalis さまの、先日の Mycena の日本新産種の発表原稿完成までの、査読者のコメントに比べればぬるかったのではないでしょうか? konpas さまも、くじけないでください! まだまだ修行の道は遠く険しいですよ!(笑×2).
>樹木があったのか
テングタケ類については「外生菌根を形成する樹木が、発生地周辺にあったかどうか」程度を確認するだけでいいのですが、イグチ類やチチタケ類などを調べる際には、子実体の発生地点から半径30〜50mの範囲内に生えている樹木を網羅しておく必要があります. 特に、Abies モミ属(モミ・ウラジロモミ・シラビソ.オオシラビソ、およびトドマツ)・Alnus ハンノキ属(ハンノキ・ヤマハンノキ・ミヤマハンノキ・ケハンノキ)や Betula カンバ属(シラカンバ・ダケカンバ・ウダイカンバおよびアズサ)、あるいは Salix ヤナギ属などは、孤立木であってもよく外生菌根を形成します.
スギ林の中にぽつんと混じったモミから100m近くも離れた場所に、アカモミタケが群生している、といった状況もしばしば観察されます.
>「子実体」や「個体」と言う用語
子実体を指す用語としては「Fruiting-body(フルーティング・ボディ)」という語が広く知られていますが、担子菌の子実体に対して「basidiocarp(バシディオカープ)」とか「basidioma(バシディオーマ)」の語も用いられ、「担子器果(たんしきか)」と邦訳されています. 子嚢菌類の子実体は、同様に「ascocarp(ェイスコカープ)」または「ascomata(ェイスコマタ)」と称されることがあり、「子嚢果(しのうか)」の訳語があてられています.
菌類の「個体」を近似的に指す用語としては、最近では「genet(ジェネット)」という語が用いられる場合があります.詳しくは、レス No.1928をご参照ください.
>柄の内部のこのような状況
柄の中が空洞ではないが、柄の表層が堅く、内部がふわふわと柔らかい場合に「髄を有する(stuffed スタッフド)」の語が当てられますが、「海綿状に充実する」という言い方も使われることがあります. きのこの特徴を表現する用語は、「図解 きのこ鑑別法−マクロとミクロによる属の見分け方」を参考にしてくださいませ(笑).
>「東北きのこ図鑑」2009、「北海道きのこ図鑑」2007
ミヤマタマゴタケが、新種として正式に記載発表されたのが2001年ですが、店頭で入手できる一般向けの書籍に掲載されるまでのブランクがずいぶんありますよね orz
日本菌学会の会報に掲載されて「日本のきのこ登録簿」に加えられても、菌学会に入会していないきのこ愛好者に、その情報が行き渡るまでには、時には10年以上の時間が要することもあります.
菌類研究者の絶対数が少なく、研究に専念できる環境もきわめて限られていること・菌学関係のレポートなどを発表できるメディアが非常に限定されていること、および出版社が、きのこ愛好者にとって有意義な図鑑などの出版に消極的すぎること、の3点が絡み合って負の循環を形成しているのが現状なのでしょう. これは、私のような立場に在る者の怠慢が、一つの原因ではありますが.
一方で、特に、きのこ観察会などで同定を担当する人(あるいは「担当させられてしまう人」^^;)は、「難しい本は読んでも判らない」とか「英語は読めないから Mycoscience は読んだことがない」などとは言っていられない状況に、そろそろなりつつあると感じます. ミヤマタマゴタケの原記載は、アメリカ菌学会のオフィシャルマガジンである「Mycologia(マイコロジア)」誌上に発表されたものですし、同じく米国で発行されている「Mycotaxon(マイコタクソン)」誌上にも、多くの日本産のきのこについて、原記載や分類学的再検討の報告がなされています. |
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Re: ミヤマタマゴタケでしょうか
konpas - 2010/10/07(Thu) 17:09 No.1967 | |
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nivalisさま,イグチ 潔さま こんにちは。
>>コメントは厳しいと思いました
nivalisさま,ご配慮ありがとうございます。
>入試、ではありませんが、敢えて辛めに「採点」させていただきました.きのこの観察の要点について、まったくご存知ない方でしたら甘々・揉み手、の採点を致しますが(笑)
イグチ 潔さまの以前のどなたかへのコメントが厳しかったので,どのような方かなとイグチ 潔さまのサイトを拝見しました。 「きのこの世界の楽しさを,一人でも多くの方に味わっていただきたい」との思いが書き込まれていました。 私自身はほとんど初心者同然で,質問にあたって何を書き込む必要があるかも分かりませんでしたし,私の質問にもまさかこのように厳しいコメントが付くと思っていませんでした。ので,正直ビックリしました。 その上で,nivalisさま,イグチ 潔さまへ 1.言われて向かっ腹が立つ程,より知識が身につく(笑) 2.これだけの情報が瞬時に得られる。しかも無料で。(笑) 今回ご教授いただいた知識を得るには,多大な時間・労力・費用が必要。
と言うことで,厳しいと思いましたが有り難いと思っています。 私の周囲にはきのこに詳しい方がいらっしゃらないので,図鑑やネットを見ながら子実体を見比べています。が,他の趣味もあって,きのこは中途半端な取り組みになっているのが実情です。(地元の「きのこの会」にも参加したりするのですが,1〜2年で退会せざるを得ない状況にあります)
虫のいい話ですが,この掲示板の皆様には当分の間いろいろご教授いただければ幸いです。よろしくお願いします。 |
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