ススケクリイロカラカサタケ? 投稿者:
nivalis 投稿日:2012/08/05(Sun) 01:24 No.2372
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
レオピー - 2012/08/07(Tue) 22:22 No.2373
こんばんわ。 初めて見ました。 自分は絶対にスルーするきのこでなんも力にはなれません(汗)m(__)m でも、こんなきのこがあるんだってとても勉強になります。 誰か知っている人が出てくるといいですね。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
nivalis - 2012/08/08(Wed) 00:08 No.2374
>自分は絶対にスルーするきのこ こんな見たことないようなきのこ、スルーしちゃうんですか? 調べるきのこがいっぱいあるとか、自分が調べたい属と違うので手を出せなくてスルーしちゃうのならわかりますが、「どうせ分からない」とスルーしちゃうなら勉強になりませんですよ〜。 きのこは ひとつの種を調べるのにあっちの図鑑やこっちの図鑑を頼りに似たような種がないか 似ている種とはどこが違うのか、あれこれ調べることによって、こんな種もあるんだとベンキョーになるんですよ〜。 図鑑をながめて、「こんなきのこもあるんだ」と覚えること、それも勉強になるかと思いますが、ひとつのきのこを徹底的に調べる事の方が実は、きのこを覚えていく早道だと思いま〜す。 (と、自分に言い聞かせている- -;) 実は、Y菌の会のSさんに、ススケクリイロカラカサタケが 青木図版(No.1047)に掲載されていることなどを教えてもらいました。 それと 掲載した写真(ヒダの写っている写真)、よーくよーく見ると 柄の上部のワタっぽいところに青味があるのですね。掲載して気づきました。 やはりススケと思ったのですが、図鑑や青木図版では小型のきのこなので、そこが残る疑問かなぁです。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
こうとく - 2012/08/08(Wed) 00:39 No.2375
こんばんは。 写真のキノコは見たことがないキノコで興味深いです。 それに関連することですが、「Lepiota grangei」と同じどうかを検討する前に、青木氏が記載した「ススケクリイロカラカサタケ」と同じかどうかを検討するほうが重要だと私は考えています。 ご存じと思いますが、ススケクリイロカラカサタケは青木実氏が1979年に日本きのこ図版 No.1047に ススケクリイロカラカサタケ(新称)Lepiota grangei (Eyre) J.E. Lange として掲載したのがはじめての報告です。 ということは、青木氏が記載したキノコ(1979.日本きのこ図版 No.1047)は「ススケクリイロカラサタケ」であることは間違いありません。 しかし、青木氏が記載したキノコ(1979.日本きのこ図版 No.1047)が「Lepiota grangei」であるということは100%ではありません。 要は、青木氏が記載したキノコの学名が正しいとは言い切れません。 とすれば、和名の基準となった記載文がしっかり残っているのなら、それと同じどうかを検討するほうが先決だと私は考えています。 もし、写真のキノコが青木氏の記載したキノコと同じなら、ススケクリイロカラカサタケとしてもいいのではないでしょうか? 余談になりますが、もし青木氏の解釈したLepiota grangeiと実際のLepiota grangeiが違うなら、学名は以下のような感じになるのかと思います。 ススケクリイロカラサタケ Lepiota grangei (Eyre) J.E. Lange sensu Aoki 日本産きのこ目録を作成していて、和名基準標本と言う考え方が非常に重要であると考えるようになりました。 目録が混乱するのがその理由です。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
nivalis - 2012/08/08(Wed) 23:40 No.2376
こんばんは こうとくさん >ススケクリイロカラカサタケは青木実氏が1979年に日本きのこ図版 No.1047に > ススケクリイロカラカサタケ(新称)Lepiota grangei (Eyre) J.E. Lange >として掲載したのがはじめての報告です。 日本新菌類図鑑にその名が掲載されていることから、ススケクリイロカラカサタケはどこかで新産種報告されているとばかり思っていましたが、報告されていない種も日本新菌類図鑑に掲載されていることがあるってことなんですね・・・。 >もし、写真のキノコが青木氏の記載したキノコと同じなら、ススケクリイロカラカサタケとしてもいいのではないでしょうか? そうですね。ススケクリイロカラカサタケの和名を使うとすれば、記載と同種か確認する必要がありますね。今のところは、図版に記載のある「すすけた灰オリーブ褐色の小鱗被」、それが具体的にはどんな色合いなのか限定はできませんけれど、おそらく写真の色合いもすすけた灰オリーブ褐色として見て良いのではないかと考えています。標本を預かっていますので検鏡してみましたが、顕微鏡所見は図版と一致しています。 >和名基準標本と言う考え方が非常に重要 標準和名ではなく、標本に基づいた和名ということでしょうか?
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
こうとく - 2012/08/09(Thu) 00:56 No.2377
>報告されていない種も日本新菌類図鑑に掲載されていることがあるってことなんですね・・・。 結構ありますよ。 というよりも、日本きのこ図版の報告を正式な報告とするかどうかという議論になります。 原色日本新菌類図鑑に和名と学名が出ているけど図鑑には出てこないキノコって多いですよね。 そういうキノコのほとんどが日本きのこ図版が出典となっています。 >標準和名ではなく、標本に基づいた和名ということでしょうか? そういうことです(^^) ただ、そういう考え方を否定する研究者の方もいらっしゃいます。 和名を命名する規約がないのでしかたがないですね。 目録作成上、学名の間違いがあったときに、和名とキノコを固定させないとややこしいのです。 学名の間違いがあったときに、和名と学名を固定してしまうと私はもう大混乱です(^^) ところで、Lepiota grangei (Eyre) J.E. Langeという学名を見て、 Langeの「FLORA AGARICINA DANICA」 を持っていること気づきました。 Langeが記載したときのLepiota grangeiの画像を添付しました。 ご参考になれば幸いです。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
nivalis - 2012/08/09(Thu) 23:33 No.2378
>そういうキノコのほとんどが日本きのこ図版が出典となっています。 今度からは、出典をちゃんと見なくちゃと反省です。 >目録作成上、学名の間違いがあったときに、和名とキノコを固定させないとややこしいのです。 ピンときませんが 作成しているからこそ、見えてくるものがあるのでしょうね。 >Langeが記載したときのLepiota grangeiの画像を添付しました。 ありがとうございます。 これまで見てきた記載に傘径2.5cm以上の子実体はないのか?と疑問だったので、Langeの記載文を見て、先ずそこに目が行きました。「あるじゃないか」と思わず思ってしまいました。分からない単語はこれから調べて、きっちり解釈したいと思います。感謝です。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
ねだ - 2012/08/10(Fri) 10:42 No.2379
Schulzeria grangei Eyre, Trans. Br. mycol. Soc. 2(1): 37 (1903) [1902]の原記載なら、CYBERLIBER An Electronic Library for Mycologyで見ることができますよ。 簡単な記載ですが、傘の大きさは、1〜1.5インチだそうです。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
nivalis - 2012/08/11(Sat) 17:36 No.2380
ねだ先生 ありがとうございます。IndexFungorumでSchulzeria grangeiをサーチして Page Image for Protologueを見てみると、そこでも原記載を見ることができました。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
イグチ 潔 - 2012/08/15(Wed) 22:53 No.2386
とうぶん書き込まないつもりでいたのですが、ちょっとだけ口を差し挟ませていただきます… >原色日本新菌類図鑑に和名と学名が出ているけど図鑑には出てこないキノコって多いですよね。 >そういうキノコのほとんどが日本きのこ図版が出典となっています。 こうとくさんは、今井三子氏の Studies on Agaricaceae of Hokkaido(北海道産マツタケ科の研究)はご覧になっていらっしゃいますか? 今井氏が植物学雑誌上などで新種記載した種や、今井氏によって日本新産の報告がなされた種をまとめたものですが、保育社の図鑑において名が挙げられているのみで詳しく記述されてない菌は、かなりの部分が今井氏の命名によるものかと思います(たとえばアクイロウロコツルタケ・シロウロコツルタケ・ザラツキテングタケ・キリンタケなど). また、硬質担子菌については、日本きのこ図版ではあまり多くの種について扱われていません.保育社図鑑に詳しい記述がない菌は、その多くのものが、安田篤氏によって、植物学雑誌上に発表・命名されたものです. 日本きのこ図版が出典になっているのは、ニオイカワキタケや、いくつかのヒトヨタケ類・イグチ類などにとどまるのではないでしょうか…
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
こうとく - 2012/08/16(Thu) 23:47 No.2391
>原色日本新菌類図鑑に和名と学名が出ているけど図鑑には出てこないキノコって多いですよね。 すいません。 説明不足でした(汗) 図鑑には出てこないキノコではなく、出典が不明なキノコと言う方がよかったです。 ススケクリイロカラカサタケのようなキノコは勝本先生の菌類集覧を見ても「原色日本新菌類図鑑」としか書かれていません。 調べてもそこから先に進めないキノコです。 それで、今井氏・安田氏が報告したキノコは伊藤誠哉「日本菌類誌」に出てくるので「出典が不明なキノコ」ではありません。 今井氏・安田氏の論文ともに確認はしています。 日本きのこ図版が出典となるであろうキノコの一部です。 キシメジ科・ハラタケ科のみ記しました。 これを多い少ないというのは個人の主観にもよりますね(^^) 青木氏 シロサカズキタケ Clitocybe hydrogramma ツチヒラタケ Hohenbuehelia petaloides ミドリカレハタケ Collybia alkalivirens コゲチャクサカレハタケ Collybia impudica ニオイヒメホウライタケ Marasmius scorodonius ハイイロサクラタケ Mycena niveipes コガネヌメリタケ Mycena leaiana マントカラカサタケ Macrolepiota detersa ススケクリイロカラカサタケ Lepiota grangei シロキツネノカラカサ Lepiota subalba 石川氏 カサヒダタケ Pluteus thomsonii 冨士氏 クロワタカラカサタケ Lepiota fuscovinacea このうち以下のキノコは記載文もしくは写真が日本きのこ図版後の文献に載っています。 ツチヒラタケ、ハイイロサクラタケは村田義一氏が「日菌報」で。 ニオイヒメホウライタケは池田良幸氏が「北陸のきのこ図鑑」で。 コガネヌメリタケは城川四郎氏が「きのこ狩りを楽しむ本」で。 マントカラカサタケ、カサヒダタケ「日本のきのこ」で。 また、青木氏は、ミドリカレハタケやコゲチャクサカレハタケは学名の後ろに「Collybia alkalivirens ?」「Collybia impudica ?」と?をつけています。 そのため、 ミドリカレハタケ=Collybia alkalivirens コゲチャクサカレハタケ=Collybia impudica と学名を確定させるのはそもそも誤りであると思います。 調べればまだまだいろいろ出てくると思います。
Re: ススケクリイロカラカサタケ...
こうとく - 2012/08/17(Fri) 11:07 No.2393
追記です 勝本先生の菌類集覧では、ススケクリイロカラカサタケ(本郷),カサヒダタケは(今関・本郷)とあります。 ()の中は和名を命名した人の名前ですから、正しくは ススケクリイロカラカサタケ(青木) カサヒダタケは(石川) とすべきだと思います。 その他、同様のケースがいくつかあります