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ナラタケとカバイロタケ?  投稿者: konpas 投稿日:2012/06/16(Sat) 10:06 No.2303

こんにちは。ご無沙汰しています。
6月14日に福島県の磐梯山登山に行ったら,ナラタケがありました。一つの笠径が10p近くの株がありました。春にこのような大きいのを見たのは初めてで嬉しくなりました。

それと磐梯山山頂直下でカバイロタケと思われる子実体を見つけました。
周辺は森林限界を超えて,笹と低木(ヨウラクツツジ系と岩場でした。)
カバイロタケだろうと思い,帰宅後に図鑑と見比べてみると,ヒダが図鑑の記述と違うようなので,迷っています。
図鑑ではヒダは「密」。他の図鑑では「やや密」と記述されていますが,この子実体は私の感じでは,「やや疎」のように思われます。
また,図鑑にはヒダ縁に記述がないのですが,この子実体は「細円鋸歯状」に見えます。

迷っていますので,よろしければ教えていただけないでしょうか。
1.「やや疎」の子実体もあるのでしょうか。それともこれは「やや密」と見るのが妥当でしょうか。
2.カバイロタケのヒダ縁は「細円鋸歯状」なのでしょうか。

ご教示よろしくお願いします。





Re: ナラタケとカバイロタケ?   nivalis - 2012/06/16(Sat) 12:01 No.2304

ご無沙汰しています。

シーズン初めに、予期せず
傘と柄のある大きなきのこに出会えると嬉しいですよね。
良かったですね。

私はカバイロタケを見たことがないのでわかりませんが
ミヤマツバタケという種に似ているように思います。
原色日本新菌類図鑑を見てみると
ミヤマツバタケのヒダについての記述は「やや疎」「淡硫黄色〜のちややオリーブ色〜濃褐色」
ヒダ縁は「やや黄色で微毛状」とあり、
世界きのこ図鑑では「灰色または紫褐色〜ほぼ黒色で、縁部は白色で縁どられる。」とあります。
どちらも「細円鋸歯状」の記述はありません。
同じ種でも、色の表現が違うのですね。

写真のきのこのヒダ縁を「縁どり」と見るか「鋸歯状」と見るか、どうなんでしょうね。
私も分かりません。すみません。




Re: ナラタケとカバイロタケ?   イグチ 潔 - 2012/06/16(Sat) 18:13 No.2305

  >森林限界を超えて,笹と低木・・・

 Stropharia のほとんどはリタ−を分解する菌ですから、周辺の樹種は同定のキーポイントにはなりにくいと考えられます.

  >密・やや密・疎

 こういった表現はアナログであり(何枚以上なら「密」、何枚以下なら「やや密」、という基準が明確ではない)、どうしても恣意的なものになってしまいます。チチタケとヒロハチチタケとの間においてみられるほどなら、ある程度の説得力があるかもしれませんが、一般的にひだの密度だけを根拠に同定することはできず、補助的指標として考えたほうが無難です.記載に際しては、「密」とか「やや密」だけに留めず、「一個のかさにおいて、ひだの枚数は〇〜△枚」などと記述します.かさの開き具合によっても印象が変わる(かさが大きく展開すれば、相対的に、ひだとひだとの間隔は広くなる)形質ですから、図鑑の記述においても、かなりあいまいな表現になってしまうのです.


  >縁どり? 鋸歯状?

 「縁どり」と「鋸歯状」、という用語の境界も多分にあいまいです.成熟した胞子が無色である菌群では、いっぱんにひだの縁シスチジアが大形で、その密度が高い場合(ひだの縁がシスチジアばかりで担子器がない場合さえある−この場合、「ひだの縁には不実帯を有する」とか「ひだの縁は不稔」という表現をする研究者も多い)に見出されます.また、縁シスチジアの内容物が着色している場合なら、ひだの縁にさまざまな色調の縁どりが観察されますが、縁シスチジアがあまりにも小さい場合・かなりの大きさを持つが数が少ない場合・縁シスチジアが着色してはいるものの、その程度が弱く淡色である場合には、肉眼では「縁どられている」と判断しにくい場合も多々あります.

 Stropharia 属では、成熟した胞子が暗紫褐色となりますので、成熟した胞子を生じた「ひだの側面」は着色しますが、縁シスチジアが大部分を占める(すなわち、ほぼ不稔な)ひだの縁だけが胞子による着色を生じず、結果として白い縁どりとなって観察されることが多いのです.今回のものもそのケースに当ると考えます.おそらく、無色かつ大形な縁シスチジアがひだの縁に群生し、その部分にはほとんど担子器がないのではないでしょうか.

 マツオオジやイタチナミハタケなどは、顕著な縁シスチジアはもたないのですが、そのひだの縁は肉眼で観察し得るほどの粗大な鋸歯を生じています.厳密には、このようなもののみを「鋸歯状」と記述するほうがわかりやすのではないかと思いますが・・・

 現状では、「肉眼的に『縁どり』にみえるか、それとも『鋸歯状』にみえるかは、縁シスチジアの大小や多寡によって影響される」と認識しておくのが妥当でしょう.大形かつ有色な縁シスチジアが無数に備わっている場合には、「鋸歯状をなすとともに、〇〇色に縁取られる」ケースもあり得ます.

 私ならば、「ひだは〇〜△枚/p、灰紫色ないし暗紫褐色、ただしひだの縁は不稔で白っぽく、不規則な微鋸歯状をなすことがある」と記載しておき、種の同定に関しては、ひだの枚数や、「ひだの縁が鋸歯状であるかどか」にはこだわりません.Stropharia 属の検索表においても、ひだの枚数はキーとして挙げられていませんし、この属のきのこはほぼすべて、成熟した子実体においてひだの縁が白っぽく残り、往々にして微鋸歯状を呈するものだからです.




Re: ナラタケとカバイロタケ?   小山 明人 - 2012/06/16(Sat) 21:50 No.2306

 私が最近観察したミヤマツバタケと思われるものです。まだ、顕微鏡観察はしていませんがヒダの縁は断続的に白い縁シスチジアが発達しているようです。鋸歯状とは考えていません。





Re: ナラタケとカバイロタケ?   nivalis - 2012/06/18(Mon) 16:18 No.2307

イグチさん、小山さん、コメントありがとうございます。

 >マツオオジやイタチナミハタケなどは、顕著な縁シスチジアはもたないのですが、そのひだの縁は肉眼で観察し得るほどの粗大な鋸歯を生じています.厳密には、このようなもののみを「鋸歯状」と記述するほうがわかりやすのではないかと思いますが・・・

そうですね。その方が分かり良いように思いました。




Re: ナラタケとカバイロタケ?   konpas - 2012/06/19(Tue) 06:45 No.2309

皆さん,早速のご教示ありがとうございます。
お礼の返信が遅くなり申し訳ありません。

イグチ 潔さん,
丁寧かつ詳細なコメントありがとうございます。ただ,私にはずいぶん難しいものでした。それで図解キノコ鑑別法(監訳者;井口,訳者;河原,発行所;西村書店)を開きながら,二日間かけて何度か読み直してみたところ,多少なりとも理解することができました。改めて,このきのこのヒダを拡大写真で確認してみると,白っぽい縁どりがあり,鋸歯とは言えないなぁと思いました。そして「なるほど,これが縁どりで縁シスチジアの大きさなどで見いだされることがあるのか。」と理解できました。

nivalisさん,
いつも早々とコメントを付けて下さりありがとうございます。
私はカバイロタケと思い込んでしまい,他の種に思い至りませんでした。迷ったときは前後に記載されている種についても,その記述を読む必要があると反省です。

小山 明人さん,
画像を添付いただきありがとうございます。
3枚目の画像は縁どりについてよく理解できました。
改めて私の画像と見比べてみました。私の子実体はずいぶんがっしりしている様に見えます。ここの子実体の違い程度のことかもしれませんが。

皆さんにご教示をいただき,改めて原色日本新菌類図鑑と見比べてみました。
1.肉は傘の中央部においてやや厚く。表皮下は赤橙色。
2.ひだの縁はほぼ白色。
3.柄の基部に長い粗毛がある。
以上の3点からカバイロタケに似ているが,柄が太くがっしりしている。
また,
1.ひだの縁は微毛状。の点ではミヤマツバタケに似ている。

そして自分なりに出した結論は,カバイロタケと思われるが,ミヤマツバタケの可能性もあり,さらに柄が太くがっしりしていることから,Naematoloma aurantiacumの可能性も高い,と思ってネットで検索してみたら,Naematoloma aurantiacumは柄に赤みがありかなり違いがありました。
です。
結局はよく分からない(苦笑)というところで落ち着きました。

今回も皆様にコメントいただき,大変勉強になりました。ありがとうございます。
またよろしくお願いいたします。





Re: ナラタケとカバイロタケ?   イグチ 潔 - 2012/06/19(Tue) 16:37 No.2310

  konpas さま:

 >ずいぶん難しいものでした。

 あぅ!(^^;) 「平易に、平易に」をモットーに説明さしあげようと四苦八苦したのですが、まだまだ「伝達力」方面の修行が必要なのかもしれないと自省しておりますー
 『図解キノコ鑑別法』の訳出に当っても、河原先生と、何度も激論をかわした覚えがあります.「この訳語は、日本の菌学研究者・菌学愛好家には違和感がある」、とか「原書(英語版)の定義では、あいまいすぎるから補足すべきではないか?」とか(笑).また、原著(英語版)で示された挿絵や写真も、私からみると粗末で、日本語版の読者が理解できるかどうかが大変不安だったりしたのですが、結局「原版に忠実に!」ということで、そのままになってます(心残りですー).

 >ミヤマツバタケ? Naematoloma aurantiacum?

 ミヤマツバタケはかなりひょろひょろしたきのこです.また、かさの中央部には、往々にしてなだらかな突出部が認められます.小山氏が挙げられた画像は、ひだが褐色系のもののように思えますので、むしろ Pholiota 属に置かれるべき菌ではないかとの疑いを持ちました.Naematoloma aurantiacum は、種小名(オレンジ褐色の、の意)が示すように、カバイロタケ以上に子実体の赤みが強く、全体に大形であり、柄は軟骨質で細長い菌です.

 かさに粘性があれば、むしろツヅレタケあるいは Stropharia ambigua などである可能性も考えられます.両者ともにがっしりした子実体を形成し、ひだおよび胞子紋は褐色を帯びた暗紫灰色を呈し、かさは湿時に著しい粘性を有し、柄の下部は脱落しやすいささくれにおおわれます.また、内被膜は崩れやすく、通常は完全なつばとならないことが多く、かさの縁に粉塊状の被膜片として残るにとどまる(降雨などに逢えば脱落してしまうのが普通)のも特徴です.
 ツヅレタケは、日本では北海道の針葉樹林から記録された種類です(本州でも、やや標高が高い地域のカラマツ林などで、まま発見されますが).また、S. ambigua は、日本からはまだ公式な記録がない菌ではありますが、私は宮城県仙台市や山梨県小淵沢・静岡県富士山(須走口五合目)などで採集したことがあります(いずれも、カラマツ・アカマツ・ウラジロモミなどの林内です).この両者は、肉眼的に識別するのはやや難しく、厳密には顕微鏡下での形質を確認する必要があります.

 「まったく見当がつかない菌」の同定に際しては、まずは胞子の色を確認することが不可欠です.最終品を持ち帰るのに紙袋を用いる方が多いのですが、アルミホイルで子実体を包んで持ち帰るようにすると、紙袋よりも内部の湿度が高まるためか、帰宅する頃にはアルミホイルの内面に胞子紋が形成されていることがよくあり、同定作業にあたって大変参考になります.暑い時期で、アルミホイルに包むと子実体が傷むことが懸念されるようであれば、かさの小片を切り取ってアルミホイルに包み、残りの子実体を紙袋に収めて持ち帰るのがいいかと思います.




Re: ナラタケとカバイロタケ?   konpas - 2012/06/20(Wed) 14:30 No.2311

イグチ 潔 さま,
重ねてのご教示ありがとうございます。

『図解キノコ鑑別法』の「第T部 肉眼的形態」は,私にとっては大変わかりやすく,各種きのこの図鑑の用語などを理解するのに役立っています。「第U部 顕微鏡的形態」は1〜2度目を通しただけでは,全くチンプンカンプンでした。きのこを顕微鏡などで見たことがない人間ですので,当然ではありますが。
しかし,イグチ 潔 さまの最初のご教示内容を,『図解キノコ鑑別法』と照らし合わせながら,何度か読み直してみると,多少なりとも理解することができました。
きのこ内部の構造(って言い方おかしいのかな)を理解し,肉眼的形態を観察すると「なるほど〜」と納得することができました。
nivalisさんのこの掲示板ではかなり厳しいコメントを発信されている方(失礼)の訳出本なのに,ほんとに平易で分かりやすく,私の持っている図鑑類の中でも,長く持ち続ける1冊となりそうです。また,きのこ初心者で種名をより正確にあるいはきのこのことをより詳しく知りたい方には,良きバイブルと言っても良いかなと思っています。

>かさに粘性があれば、むしろツヅレタケあるいは Stropharia ambigua などである可能性も考えられます・・・

「続 北海道のキノコ(著者;五十嵐恒夫 発行所;北海道新聞社)の写真を見たところ,「おぉ,これだ!」と思いました。
ただ,「原色 日本新菌類図鑑」の検索表では,傘の表面はゼラチン質で著しく粘性。との記述があり,この点がかなり気になります。この子実体は湿時粘性程度かなと感じています。

結局自分では結論が出せませんが,たった1個の子実体で,いろいろ勉強することができたので,良かったなぁと思っています。

>まずは胞子の色を確認することが不可欠です.最終品を持ち帰るのに・・・

9月前後の登山では,虫取りかごを腰にぶら下げて歩き,これはと思うきのこを採取して,帰宅後に図鑑と見比べていました。これからは今の時期から虫かごを用意したいと思います。

皆様,今後もいろいろなご教示よろしくお願いします。





アシブトニガイグチの文献  投稿者: こうとく 投稿日:2012/06/14(Thu) 00:27 No.2301

nivalisさん

アシブトニガイグチの文献は、日本菌学会講演要旨集以外では、北隆館「原色きのこ図鑑」168ページに載っています。
ただし、写真ではなく絵です。
私が知る限りではこれが唯一です。

日本産きのこ目録にはこの情報はまだ載せていません。
作業が追い付いていないのです(泣)




Re: アシブトニガイグチの文献   nivalis - 2012/06/14(Thu) 09:14 No.2302

こうとく さん

教えていただきありがとうございます。
北隆館「原色きのこ図鑑」は持っていませんでしたので、amazonで中古本を注文いたしました。

>作業が追い付いていないのです(泣)

MycoBank's opinion記載の確認作業もされていると思います。
普通の人には、とても出来る作業ではないです。
学名だけでなく分類も違っていたり、わずか数種を調べるのと違い
何人かでプロジェクトを組んで、やっとできる作業をお一人でやっているのですから
本当に大変だと思います。
私の頭は混んがらがりっぱなしですが、私に出来そうなことがありましたらおっしゃってくださいね。





出ていました。  投稿者: レオピー 投稿日:2012/05/20(Sun) 21:56 No.2296

こんばんわ。

お疲れ様です。

今日、野幌に行って来きました。

そこで、こんなきのこが出ていました。





Re: 出ていました。   nivalis - 2012/05/20(Sun) 23:02 No.2297

役員会のついでに寄られたのだと思います。役員会、お疲れ様でした。
実は、10日前くらいにチラッと私も見に行ってきました。
今年は、オオシャグマの発生はぐっと少ないように思いましたが
イエローが出ていたんですね。

春先のきのこの出が少ないと、今年一年キノコの出も少ないんじゃないかと
心配になってきますよね。
皆様のところはいかがでしょうか?




Re: 出ていました。   オリミキ - 2012/05/21(Mon) 10:03 No.2298

ご無沙汰しております。

日光は桜が満開、2週間ぐらい遅れているでしょうか。
オオシャグマタケ:5月16日 日光
シロキクラゲ:5月20日 福島
おまけ:5月21日 東京





Re: 出ていました。   nivalis - 2012/05/22(Tue) 20:31 No.2299

オリミキさん、ご無沙汰です。

日光は桜が満開ですか
北海道は道北・道東あたりが、今頃満開でしょうか…
きょうは、今年初めてカッコウの鳴き声を聞きました。
いよいよ、種の蒔き時ですが
何だか天候不順で、いつもの春より寒いような気がします。
(でも、北見では28℃とかトンデモないところがありますけど)

とてもきれいな写真を見せてくださり、ありがとうございます。
おまけの写真は、見事に撮れましたねv。
実際に見れた方が羨ましいです〜。




Re: 出ていました。   レオピー - 2012/05/22(Tue) 20:37 No.2300

ニヴァリスさん
オリミキさんこんばんわ。

イエローは今年は一つで、厚真ではまだ出てきていません。

厚真では皆既日食は曇っていて見られなかったので、見事な写真ありがとうございます。





こんなきのこ見つけました。  投稿者: レオピー 投稿日:2012/05/05(Sat) 23:25 No.2294

皆さんこんばんわ。

今日、きのこを見に行ったら こんなきのこを見つけました。(^_^)v

ハルニレの木下 腐葉土があるところから一つ。

傘は5cm 綿毛状 ひだは蜜 つばがあり 柄は平滑6cm 中実やや中空

ん〜なんだろう? 季節的に

ハルハラタケ?(Agaricus aestivalis )に近いのかな? 

トガリアミガサタケやハルシメジを見つける前にハラタケとわ・・・・。





Re: こんなきのこ見つけました。   nivalis - 2012/05/06(Sun) 18:09 No.2295

わぁ・・・羨ましい!
桜がもう咲いているというのに、ぜーんぜん出かけていません(TT)。
今年の私はアミガサタケを見つけるのは無理かな・・・

たぶん、Agaricus aestivalisで良いのだと思いますが
8年前に私が見つけたものは
胞子サイズが7.1-10.5×4.2-4.8μmと、A. aestivalisよりも若干大きく
A. aestivalis var.venerisとして良いのだと思っています。
同種かもしれませんね。


ぜひ、乾燥標本にして置いてくださいね〜。





教えてください。  投稿者: nivalis 投稿日:2012/05/03(Thu) 15:48 No.2289

下の写真のきのこは、7〜8年前から何だろうと思っていたきのこで
2004年8月7日に撮っていた写真です。

カラマツ・シラカバの混生林に発生し
幼菌時、管孔はピンク色を呈し、成菌になるとピンク色はなくなります。
老成すると傘径は10センチ前後になり傘色は褪せます。

最近になって、このきのこをウツロイイグチの変種と見ている方がいらっしゃることを知りました。
イグチの仲間には疎い私ですが、「えっ?」と首をかしげています。
下の写真はウツロイイグチです。


他のイグチ類とウツロイイグチの違いの特徴点について
教えていただけませんか?




Re: 教えてください。   種山 - 2012/05/03(Thu) 20:13 No.2290

ここでは、ご無沙汰です。

さてウツロイイグチの最大の特徴は、胞子が明らかな黄色である点です。顕微鏡下ではドライでも水封でもKOH封入でも黄色いです。メルツァー液中ではオレンジ色を帯び、弱い偽アミロイドとなっています。写真は、ドライとKOHとメルツァーです。

ヤマドリタケ属はKOH中で淡い密色であることが多く、メルツァー反応はあったりなかったりです。ニガイグチ属ではKOH中で無色、メルツァー反応はまだ試してません。

ウツロイイグチのかさ表皮は、楕円形の細胞が連なり柵状に並び、末端細胞はしばしばシスチジア状に尖ります。同様の構造を持つ物はアワタケ属に見られ、ススケヤマドリタケ、ムラサキヤマドリタケは、似ていますが末端細胞が尖りません。

お見せいただいた写真上段の菌は「幼菌時、管孔はピンク色を呈し」という点でニガイグチ属の可能性、子実体全体の雰囲気はウツロイイグチに近縁の可能性、両方考えられます。標本が残っているのであれば胞子だけでも見てみるとどちらに近いのか判断できると思います。

注意点がひとつ。
ウツロイイグチの比較的若い子実体の若い胞子は黄色が薄く、またメルツァー反応が弱いことが確認されていますので、検討の際は十分に成熟した標本を見た方が良いです。さらには、偽アミロイドを確認するには、事前のアルカリ処理が必須です。

ウツロイイグチは国内の写真図鑑では一般的に写真下段のように柄の表面が褐色である場合が多いですが、海外の文献では写真上段のように、白っぽい色をしているのが標準的なタイプのようです。柄が白っぽいウツロイイグチを石川県で確認しています。

まだ、少数の標本しか検討していないので、さらに調べれば何か新しい事が分かるかもしれません。





Re: 教えてください。   nivalis - 2012/05/04(Fri) 17:22 No.2291

種山 様

ありがとうございます。
標本は取っていたはずと探してみたのですが見当たりません。
処分してしまったのかもしれません。
今年も8月〜9月初旬に発生していると思いますので、ぜひ採取し生標本(成菌)で確認してみたいと思います。

最初、このきのこに出会ったときは、ニガイグチ属だろうと思っていたのですが
(苦味は全くないです)
ウツロイイグチ属の可能性もあるようなので、
胞子の色と傘表皮の表皮菌糸構造ですね、確認するのが楽しみです。

>事前のアルカリ処理が必須です。

アンモニア10%液でよいでしょうか?

>柄が白っぽいウツロイイグチを石川県で確認しています。
>さらに調べれば何か新しい事が分かるかもしれません。

ウツロイイグチ属のきのこってそんなに種類が多くないんですよね?
これまでは日本からはウツロイイグチ1種のみの報告でしたが
もしかしたら、2〜3種ある可能性もあるわけですね。




Re: 教えてください。   種山 - 2012/05/04(Fri) 19:33 No.2292

写真は、No.2289上段のものに良く似ていると思ってますが、採集した当初はニガイグチ、細部を観察した結果ウツロイイグチなのかもしれないと思いながらほったらかしにしてあったものです。この機会にざっと検鏡しましたが、胞子はKOH中で無色、かさ表皮はウツロイイグチにそっくりでした。未成熟の標本なのでこれ以上の事は分からないです。はたして成熟したものは胞子が黄色くなるのか?

これまでの情報では、Boletus separansというムラサキヤマドリタケに非常に近い菌がXanthoconiumに移されています。ということはムラサキヤマドリタケはXanthoconiumということになるのでしょうか。ムラサキヤマドリタケに近縁な未記載種もあります。白いヤマドリタケとされたものもXanthoconiumの可能性があり、北陸図鑑には仮称で1種掲載されています。とすると日本産Xanthoconiumは少なくとも5種類かと。

ただ北米の大学のサイトにあった系統樹では、Boletus separansとXanthoconium affineはそれほど近縁でもないという結果が示されていました。自身でもDNAデータバンクのデータを使って簡単に検証しましたらやはり似た様な結果となりましたので、今後さらに分類体系は流動的となりそうです。

>アンモニア10%液でよいでしょうか?

これまでにアルカリの濃度によって反応が異なったケースを経験していますので、厳密にやるのならば濃度の違うものでそれぞれ試すと完璧です。




Re: 教えてください。   nivalis - 2012/05/04(Fri) 23:40 No.2293

>良く似ていると思ってますが、

写真見せて頂き、ありがとうございます。
柄の長さの違いや傘色の濃淡の違いこそあれ、私には同種のように見えます^ ^;
今年、上手い具合に見つかれば良いなぁと思っています。
その折には、結果をご報告いたしますね。

>今後さらに分類体系は流動的となりそうです。

そうですか・・・きっとイグチ目だけではなく、ハラタケ目でも科の所属が決まっていない種がありますし、ひとつの体系が出来上がるまでに、何年も何年もかかるのでしょうね。

>厳密にやるのならば

私のことですから、厳密に完璧に出来ませんです〜(- -;)。
当初の目的は、「胞子は黄色いのか?」ですぅ。





日本産きのこ目録2013  投稿者: nivalis 投稿日:2012/05/01(Tue) 01:28 No.2288

お知らせ♪

幸徳さん作成の日本産きのこ目録が大きくバージョンアップして更新されました。
http://koubekinoko.chicappa.jp/nihonsannkinoko/nihonsannkinoko2013.htm
私のPCは、まだXPなんですが、ファイル表示はすこぶる速くなったこと
オートフィルタ機能で便利に使えます。

つい最近、わ〜いと思った使い方をご紹介
例えば、マメザヤタケの学名・分類は?と調べたいときに
オートフィルタ機能で和名の横にある▼をクリックし
和名を入力し、「を含む」を選択しOKを押すと
マメザヤタケの文字を含む種が表示されます。
もちろん、学名や所属、どの文献に掲載されているかを知ることができますが
たまたま何年も前から気になっていたXylaria longipesに和名があることを知りました。
その使い方を画像にしてみました(下の3枚の画像を参照してください)。

分類や所属に興味の無い方には、猫に小判だと思いますが
新分類に興味を持たれる方や、学名を調べたいと思われる方には
本当に超便利なアイテムです。

幸徳さん、ありがとう!!!






田中長嶺展  投稿者: gorosuke 投稿日:2012/04/06(Fri) 23:06 No.2280

田中長嶺展の紹介をさせて下さい。4/21〜5/5まで新潟県長岡市で開催されます。長嶺は明治時代初期、全国各地でシイタケの栽培や炭焼きを指導した林業技術者ですが菌学においても優れた業績を残しました。しかし日本菌学史の上では全く評価されていません。終焉の地となった愛知県には多くの資料が現存していて、南方熊楠翁同様再評価されて良い人物です。お近くにお住まいの方は是非ご覧になって下さい。




Re: 田中長嶺展   gorosuke - 2012/04/06(Fri) 23:33 No.2281

長嶺は多くのきのこの図版を残しました。本格的に日本画を学んだという長嶺の絵は菌類学者が書いたものとは一味もふた味も違うものです。アップした図版は以前愛知県で開かれた長嶺展のパンフレットに掲載された小さな写真を無理やり拡大したものです。したがって画質が悪くて申し訳ありませんが雰囲気は分かると思います。図版の中でも岩絵具で描かれたものは当時の色彩がそのまま残っています。





Re: 田中長嶺展   nivalis - 2012/04/07(Sat) 12:58 No.2282

gorosukeさん、田中長嶺展の紹介をありがとうございます。

「田中長嶺」…どこかで聞いたことがあるような…
この方の写真をどこかで見たことがあったような…
どこだったろう…
シイタケの栽培や炭焼きを指導…
…思い出しました。
前に大阪に行ったときのこと、科博のH矢先生が大阪に来る途中、愛知県の(たぶん)西尾市に寄ってきたと田中長嶺展のパンフレットを見せてくださったことがありました。そのとき「貧困の日本を救うためにこのような人がいたのだ」と熱く話しを聞かせてくださったことがありました。

知る人ぞ知る「田中長嶺」です。
新潟県や新潟県近県の方は、必見かもしれませんね。
日によって
特別講座やトークショウもあるようで
近かければ行きたかったです。





Re: 田中長嶺展   天野 典英 - 2012/04/08(Sun) 00:17 No.2283

中村克哉先生らが「明治殖産業の民間先駆者田中長嶺の研究 (1967年)」を上梓されています。アマゾンでは高額で出品されていますが、日本の古本屋でかなり安価に入手できます。ご一読ください。




Re: 田中長嶺展   nivalis - 2012/04/09(Mon) 20:48 No.2284

天野先生、本の紹介ありがとうございます。

アマゾンで見ると、定価が4200円なのに倍以上の値段なのですね。
日本の古本屋のほうですが
本州へ行くことの交通費を考えりゃ安いもんかなと注文しました。
「春風や仏を刻むかんな屑」に惹かされて
「田中長嶺」の生き方を垣間見れたらと思っています。




Re: 田中長嶺展   gorosuke - 2012/04/09(Mon) 23:35 No.2285

nivalis様

長嶺展の詳しいご紹介、ありがとうございます。これを機会に「知る人ぞ知る」という枕詞が取れてくれればと願っています。

天野典英 様

安井広氏、浜口隆氏との共著のこの本の存在は存じておりましたが、アマゾンで買えるとは思いつきませんでした。ありがとうございます。
先回愛知県での長嶺展は郷土史関係者の来訪が目につきましたが、菌学関係者は少なかったように感じました。しかし専門家の間にしっかり認知されていることを知り、嬉しく思いました。

皆様

長嶺展は“検鏡図が添付されたきのこ図版”“明治19年に採取された胞子紋の標本”“当時としては最先端の胞子の色を基準としたきのこの分類表”等見所満載です。今まで地方での開催ばかりでしたが、将来関東や関西といった大都市圏でも大勢の方に見てもらいたいと願っています。




Re: 田中長嶺展   天野 典英 - 2012/04/17(Tue) 22:57 No.2286

田中長嶺氏に関する追記。

平成21年11月14日(土)〜22年1月17日(日)に西尾市岩瀬文庫で開催された「田中長嶺   TANAKA NAGANE  〜知られざる明治殖産興業のパイオニア〜」展見学と特別講座受講のため岩瀬文庫を訪ねました。そのとき図録も買い求めましたが、今は手許にありません。
特別講座 「明治期三河の貧困を救った偉人 田中長嶺」講師:中條長昭 氏(日本菌学会会員・西尾きのこ会代表)

岩瀬文庫WEBに載る田中長嶺氏の記事。
http://www.city.nishio.aichi.jp/nishio/kaforuda/40iwase/kikaku/32tanakanagane/tanakanagane.html

岩瀬文庫は古典籍の宝庫として有名です。古書に関する書籍で名前を知り一度は訪ねてみたいと思っていました。

田中長嶺氏だけでなく大上宇一氏も全国区で語られるべきヒトです。
http://fukudoku.tesp.jp/hyogo/index_hyodo_no_hatten.html

以上





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